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<インタビュー> 東京都立大学 岡本龍史先生

学部生時代の就職活動での気づきから、徐々に研究への興味関心を深める。

— ライフサイエンス研究を仕事にしようと思ったきっかけを教えてください。
 私が大学4年次だったころはバブル経済期の最中で景気がよく、最初は企業就職するつもりでした。そのため卒業研究を進めながら主に種苗会社への就職活動をしていましたが、面接を通じて自分がやりたい研究は企業で行われているそれではないと気づき、途中で大学院進学へと進路希望を変更しました。大学は国際基督教大学でした。そのときの指導教官へ進路について相談したところ東京都立大学の大学院を紹介され、研究室訪問や大学院入試を経て、修士課程から東京都立大学へ来ました。大学院修士課程・博士課程で研究への興味を深まらせてゆき論文も複数発表しました。そうするうち大学から助手 (現在では助教) として残らないかとの話しをいただき今に至ります。よって私の場合は最初から研究者を志していたわけではなく、大学院修士・博士のうちに徐々に研究への興味関心を深くして、研究者を目指すようになったという形です。

― これまでの経歴を教えてください。また、特に苦労したことやアピールできることなどありましたか。
 大学は先に述べたように国際基督教大学でした。大学院修士課程と博士課程が東京都立大学で、博士号取得後はすぐに東京都立大学の助手になりました。助手になって数年後に日本学術振興会の海外特別研究員制度に応募して採択され、ドイツ国ハンブルグ大学へ2年間の海外研究留学をしています。帰国後しばらくしてから准教授となり今は教授です。アピール点としては、ハンブルグ大学への研究留学時代に習得した植物の顕微授精法に可能性を見出し、ここ東京都立大学で幅広く展開していることです。この研究手法は植物の受精・胚発生研究の他にも、交雑植物の創出といった応用研究にも非常に有用であることから、他大学や企業からも習得したいというお話をいただき国内外の人的交流につながっています。
花から卵細胞と精細胞を単離し、それらを電気的に融合させることで受精卵を作出し、それを培養することで胚や植物体まで発生させる技術

分子レベルから個体レベルまで、幅広い研究を展開。

— 研究内容について教えてください。
 先ほど述べた植物の顕微授精法を用い、『植物の受精・発生』と『新しい植物づくり』をテーマにした研究に取り組んでいます。いずれのテーマでもイネ、コムギ、トウモロコシ、サトウキビなど、イネ科植物を材料として用いています。胚発生は子房のなかで進むため本来であれば外からその様子を見ることはできません。ところが植物人工授精法を用いるとその様子を外から観察できるようになるため、特定ステージで特定細胞を回収するなどして分子レベル・細胞レベルで種子形成への理解を深めています。新しい植物づくりでは、交雑ができない異種の植物同士を人工授精させて新しい植物 (ハイブリッド) を作成しています。鳥取大などの共同研究先や東京都立大学の圃場でそれらハイブリッド植物を栽培することでその形質解析および有用個体選別を行っています。

― 現在の研究室のメンバーについて教えてください。

 教授1名、助教2名、特任助教2名、博士研究員1名、大学院博士課程3名、大学院修士課程10名、卒業研究生5名と、合計20名をこえる大所帯です。海外からの特任助教や大学院生が5名いるので研究進捗報告会や論文抄読会は日本語・英語の双方を用いて行っています。一日のスケジュールは原則朝10:00に研究室へきて終わりの時刻は各自に任せています。研究室行事としては、もとは旅行や例月飲み会などがあったのですが、2020年にSARS-CoV-2のため中止となったままです。

― オフの時など、研究以外での過ごし方を教えてください。

 中学校で剣道部、高校で野球部、大学でふたたび剣道部、大学院では大学の剣道部OB会で剣道をしていました。助手や准教授になってからも大学の剣道部OB会に顔を出していたので剣道を長くしていました。アキレス腱を切ってしまって以来、ほとんど剣道をしておらず、オフといえば庭仕事、お酒、旅行、スポーツ観戦などでしょうか。ガラス工芸も好きで、一時吹きガラスを習っていました。今でも展覧会などに行くこともあります。

― 完 ―

<岡本先生のプロフィール>
現所属 : 東京都立大学大学院理学研究科 教授
略歴 :
1996年 東京都立大学大学院理学研究科 博士課程修了
1996年 東京都立大学大学院理学研究科 助手
(2001年 日本学術振興会海外特別研究員)
2005年 首都大学東京大学院理工学研究科 准教授

<記事作成者>
インタビュアー : S. I.
編集者 : R. N.